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2020年5月1日のPCRセンター立ち上げの記事内容について

2020.6.19

 5月1日付の世田谷区医師会ホームページの「世田谷区医師会PCRセンター開設」の記事内容から、世田谷区と世田谷区医師会の間に何らかの対立が起こっているのではとご心配の声が聞かれるようです。区議会においてもご心配のご質問があったようです。
決してその様な事は無く、現在も協力し合って新型コロナウイルス感染症対策にあたっております。
ご理解をいただく為に状況を説明させていただきます。加えて、現在の問題点について2点お話しさせていただきます。

(1)PCRセンター立ち上げに至るまでの経緯とその後の経過について
 新型コロナウイルス感染症の患者さんが急増した3月から4月にかけて、PCR検査を受けるには大変なハードルがありました。保健所の帰国者・接触者相談センターに電話が殺到して全く繋がらず、たとえ繋がってPCR検査を受けることになっても、受けるまでに早くて3〜4日、検査を受けてから結果が出るまではさらに3〜5日を必要としていました。患者さんの中には、自宅待機中に病状が急変して気管内挿管にまで至ったかたもいらっしゃったと聞いています。そして残念なことに、区内の社員寮で一人暮らしの男性が、やっと受けることができたPCR検査の結果を待っている間にお亡くなりになるという痛ましい衝撃的な事件が起こりました。

このような事を2度と起こしてはならない。

医師会としては、PCR検査を必要とする患者さんに即座に検査を受けていただき、すぐに結果を出せる検査体制づくりについて、世田谷区と交渉をいたしました。
4月13日から医師会役員を中心に、世田谷区保健所が行うPCR検査(行政検査)をお手伝いする形で行政検査に参加・協力し、その結果PCR検査数は多い日で60件程度まで増加し、検査が必要な患者さんは当日もしくは翌日に検査ができるようになり、検査の結果が出るまでの時間が半分になりました。
世田谷区医師会は、平行して「世田谷区医師会PCR検査センター」開設の為の検討を進め、4月16日の臨時理事会では厚生労働省の担当技官の方々に参加していただき意見交換をいたしました。このときに4月15日付で厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部より発信された「都道府県等のPCR検査機能を地域の医師会等に委託するスキーム」について説明をいただきました。これは、保健所を通さずに、患者さんが受診した診療所の医師から診療情報提供書を介して「医師会等が運営するPCR検査センター」へ直接紹介し、保険診療でPCR検査を受け、解析は民間検査機関を利用することで結果を翌日には得ることができるというありがたいスキームでした。
この厚労省のスキームによるPCR検査センター開設に向けて急ピッチで各方面と調整を行い、やっとのこと4月24日に世田谷区から医療保険によるPCRセンターを開設する契約を結ぶという報告が示されました。
4月28日、世田谷区より打ち合わせしたい旨連絡があり、急遽、会長をはじめ担当・関係役員で世田谷区を訪問し、「世田谷区医師会PCR検査センター」を開設するに伴う資料などにつき説明を行いました。
4月30日、会長が世田谷区を訪問し公印を押印し契約が成立し、5月1日に世田谷区との協力のもと「世田谷区医師会PCR検査センター」をスタートすることができました。
「世田谷区医師会PCRセンター」が立ち上がり、検査の入り口は大きく広がり、結果も翌日に迅速に出せる形となりましたが、検査の結果待ちの段階で症状から肺炎が疑われるいわゆるグレーゾーンの患者さんの対応が問題となりました。コロナかどうかわからない段階での入院待機先がなかなか確保できないという問題に対して、医師会員の施設からグレーの患者さんのための病床を確保していただけるとの申し出があり、活用させていただいています。
また、症状が強く急変の可能性が心配な患者さんには、血液の酸素飽和度をモニターするパルスオキシメーターを貸し出して、酸素飽和度が93%を下回る場合にはすぐに主治医に連絡していただいて、急変に素早く対応できる形をとっています。
5月17日からはPCR検査センター内で、CTによる画像診断も開始され、PCR検査の弱点である偽陰性の場合の取りこぼしを防ぐように診断能力が強化されました。

(2)PCRセンターでの保険診療に自己負担が発生する問題について。
PCR検査センターでの検査は、保険診療で行われており、PCR検査料及び判断料については公費負担で自己負担は生じませんが、診察を行う過程がある為に初診料が発生し、この初診料については公費負担にならず自己負担が発生します。保健所が行う行政検査としてのPCR検査には一切自己負担はありません。保医発0430第4号令和2年4月30日・厚生労働省保険局医療課長通知「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊費用及び自宅療養における公費負担医療の提供に係る費用の請求に関する診療報酬明細書等の記載等について」では宿泊療養中又は自宅療養中のPCR検査を行った費用についてすべて公費として自己負担が発生しない様にとされています。
世田谷区医師会は初診料やCT検査に関わる部分も公費負担としていただける様に世田谷区と交渉中です。

(3)新型コロナウイルス感染拡大下での医療機関の経営状況について。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関への受診抑制が起こった事に加え、感染症防御の対応にかかる費用の増大やマスクやアルコールをはじめとする医療物資の不足・価格高騰の一方で、医療機器のリース料、人件費、テナント賃料は通常と変わらずのしかかってきます。
今後、このような状況が続くようであれば、病院はもとより診療所においても医業経営が困難となる事が予想されます。
世田谷区医師会が会員に対して5月に行った医業経営に関するアンケートによれば、診療延べ人数は3月が25%、4月が36%の減 ゴールデンウィークのある5月はもっと厳しい状況が予想されるとの回答でした。「今後、縮小や休診を検討する場面があるか?」との問いに対して、3〜6ヶ月後には62%の施設が縮小や休診を検討せざるを得ない場面が来るとの驚くべき回答でした。
このような状況が続けば、皆さんが自由に医療施設を選択して受診することができなくなるかもしれません。通常の診療に加えて、夜間休日診療や特定健診やお子さんの集団検診、学校医や産業医などの業務も医師会会員なしには立ち行かなくなります。感染症拡大に対する国民への対応と並行して各医療機関への支援を急ぎ、行っていただきたいと思います。
このままだと本当に医療の危機に繋がる可能性があります。

最後にまとめさせていただきます。
世田谷区医師会は区民の健康保持増進のために、今までどおり一致協力して歩んでいく所存です。区長や世田谷区と対立する気持ちは一切ございません。確かに、今回のPCRセンター立ち上げまでのやり取りには行き違いが多くありました。これは、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大に伴い、日本全国で各自治体の仕事量が驚異的に増加したため、「とにかく忙しすぎた」ことが最大の原因であったと考えています。今回はかなり特殊な状況でした。保健所の職員の方々をはじめ、世田谷区の職員の方々は連日休むことなく深夜まで、大車輪の働きをされていました。ほんとうに頭が下がる思いでした。しかし、このコロナ対策は、区民の命に係わる重要な案件で、スピードある判断を要する仕事です。表現を取り繕うことなく率直に表した結果ホームページに出したような表現となりました。言葉が不足していたところをお詫びいたします。区長や行政担当部署の方々には、本当に素早く物事を進めていただき、また感染防御用の物資供給やCT機器のセットアップなど多大なる支援をいただきました。心より感謝申し上げます。
区民ファーストを第一とすれば、自ずと目指すところは一つとなると思います。これからも医師会と世田谷区が一致団結して協議し、迅速な対応をしていくつもりです。
新型コロナウイルス感染症の終息宣言がなされる日まで、特に第2波・第3波に備えて、みんなで情報交換・共有をしっかりと行い、ONE TEAMで頑張っていきましょう! どうぞよろしくお願いいたします。

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