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新型コロナウイルス感染症についてもう一度整理してみましょう。

2021.1.27

2021年1月現在、全国で新型コロナウイルス感染症の流行に歯止めがかからなくなり、1月7日に2度目の緊急事態宣言が出されました。

しかし、今回の緊急事態宣言は昨年に出されたものとはずいぶん趣が異なっています。昨年のものは自粛の要請が多岐にわたっていました。新型コロナウイルスが見つかって間がない時期であったため、“わからないことだらけ”の状態だったのが主な理由です。今は、流行が始まっておおよそ1年が経ち新型コロナウイルス感染症の様々な特徴が解ってきたため、今回の緊急事態宣言はそれを考慮にいれた自粛要請となっています。

いろいろとわかってきた新型コロナウイルス感染症の特徴を整理して、どのように行動したら良いのかを考えてみましょう。

Q1:新型コロナウイルスは何を介して感染するの?

A1:主に飛沫感染です。接触感染も多くあると考えられます。

 飛沫は咳やくしゃみによって飛散します。この飛沫を介して感染を起こします。通常の会話でも飛沫は飛散します。叫んだり大声で話したりすると

 飛散する距離も大きくなります。カラオケで熱唱するのもかなりあぶなそうですね。アルコールが入って、つい気が大きくなり大声で騒いでしまうのが危険なのは言うまでもありません。

 マスクは飛沫の飛散を防ぎます。マスクは感染の防御というよりも、周りに感染を広げないためのエチケットです。

 公共の場で声を発する時は、必ずマスクを着用していただきたいと思います。

 換気の悪い状況では咳やくしゃみなど広く飛沫が飛散する状況がなくても感染するといわれています。

 ソーシャルディスタンスとして2m離れるように指導されていますが、飛沫が飛散できる距離が2mであるために、この距離が設定されています。

 ウイルスを含む飛沫によって汚染された環境表面からの接触感染も多いといわれています。多くの人が触れるようなドアノブなどは、定期的にアルコールや洗剤などの消毒作用のある材料で清拭するなどを考えると良いと思います。飲食店で調味料や割り箸などが客席に出してあるようなスタイルも危険に感じます。お客さんが入れ替わる毎に、テーブルや椅子と同様に、調味料の容器もアルコール清拭したほうが良さそうです。

Q2:エアロゾル感染とは?

A2:エアロゾル感染は厳密な定義がない状況です。

 エアロゾルとは空気中に漂う微細な粒子のことを指します。

 くしゃみや咳などで飛散する飛沫には水分が含まれており重さがあります。この飛沫の水分が蒸発した飛沫核という状態のものをエアロゾルと表現しているようです。このエアロゾルは粒子が小さく軽いため、浮遊しやすくなり、10mほど移動する可能性もあるといわれています。これによる感染を防ぐには、換気が重要といわれています。実際は“感染を起こす可能性がありうる”という程度のもので、流行における主な感染経路とは評価されていません。

Q3:人に感染させる可能性のある期間は?

A3:新型コロナウイルス感染症は、ウイルスに暴露されてから5日程度で発症することが多いといわれています。感染可能期間は発症2日前~発症後7~10日程度と考えられています。新型コロナウイルス感染症は、発症前から感染性があり、発症から間もない時期に感染性が高いことが特徴で、このことが感染を拡大させやすい厄介な原因となっています。

 重症例ではウイルス量が多く、ウイルス遺伝子検出期間(PCR検査の反応が出る期間)も3~4週間と長いと言われていますが、ウイルス遺伝子が検出されることと感染性があることと同義ではありません。

Q4「全く症状が無い人の陰性確認」のPCR検査は意味があるの?

  世の中では、広くおこなわれているようですが・・・

  自分としては、ほとんど意味がないと思っています。

  PCR検査はスクリーニングには不向きな検査です。

 一定の確率で間違います。事前確率(コロナウイルス感染症である確率)が高い集団に行った場合に精度は高くなりますが、事前確率が低い集団に行った場合には、陽性が出ても大半が偽陽性(実際は陰性だが陽性と判定されてしまう)だったという結果になります。

 <この理屈は、高度な数学的な解説が必要なのですが、数学音痴の自分にはうまい説明が思いつきません。感染症の大家である神戸大学の岩田健太郎先生の著書である「丁寧に考える新型コロナ(光文社新書)」に数学音痴でも理解できるように解りやすく解説されています。>

 仮に検査の正確性が高かったとしても、検査をした日はウイルスを排泄していなかったという意味でしかなく、検査の翌日には感染性のある状況になっているのかもしれません。

Q5:それでは濃厚接触者で症状が無い人のPCR検査も意味がないと言うんですか?

A5:それは全く違います。

 濃厚接触者の場合は、検査のタイミングが重要です。

 新型コロナウイルス感染症は、ウイルス暴露後5日後頃に発症しやすく、発症2日前から感染性がある(ウイルスを積極的に排出する)ということを思い出してください。

 濃厚接触があってから3~4日ほど時間をおいてから検査を行ったほうがよいでしょう。 

心配になって早く検査をしたいという気持ちはわかりますが・・・。

 「昨日濃厚接触しました。早く検査してください。」で

感染があったとしても陰性という結果になってしまいます。

適切な検査時期までじっと待ってくださいね。

Q6:どのような症状があれば新型コロナウイルス感染症を疑い、病院を受診すれば良いのでしょうか?

A6:典型的な症状は・・・

  • (1)咳、息切れ、呼吸苦
  • (2)熱、寒気
  • (3)筋肉痛、関節痛
  • (4)嘔吐、下痢
  • (5)嗅覚異常、味覚異常

  新型コロナウイルスも一部の風邪の原因となるウイルスも同じコロナウイルスです。このため症状も似ています。そっくりと言ってもよいでしょう。症状の名称を羅列していくと全く区別がつきません。

 新型コロナウイルス感染症には病状の経過に特徴があります。

 その1:症状の続く期間が長い。

 風邪の症状が1週間以上続くことは比較的稀です。ところが新型コロナウイルス感染症では症状の持続期間が長いという特徴があります。特に重症化する症例では発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってきます。

 その2:重症化して命にかかわるようなことがしばしば見られる。

 風邪では命にかかわるほどひどい症状になることはめったにありません。新型コロナウイルス感染症では、発症してから1週間程度は風邪のような軽い症状が継続し約8割の方はそのまま治ってしまいます。約2割の方はそこから肺炎の症状が悪化し重症化して入院治療が必要となります。全体の5%の症例で集中治療が必要となり、2%の症例で命にかかわる状態となるといわれています。

 「コロナはただの風邪。」とのキャンペーンを行っていた団体がありました。軽傷に限って言えば、風邪と大きな差はないかもしれません。しかし普通の風邪は重症化することはほとんどありません。“新型コロナウイルス感染症は普通の風邪とは明らかに違います。”

 その3:嗅覚異常と味覚異常

 新型コロナウイルス感染症では、においや味の感じ方に変調を感じる方が多いことがわかっています。

 これらの変調を感じる方は女性や若い方に多いようです。全体の3~4割の方に嗅覚や味覚に異常があったとの報告もあり、これが新型コロナウイルス感染症に最も特徴的な症状といってもよいと思われます。気を付けたいのが“嗅覚・味覚の異常=コロナ”ではないことです。今年はスギ花粉が多いと言われていますが、花粉症でも頻繁に嗅覚や味覚の異常があります。発熱や咳などの症状に加えてにおいや味に変化があった場合は新型コロナウイルス感染の可能性が高くなってきます。このような時はいきなり病院に受診するのではなく、かかりつけ医や発熱相談センターに相談して指示を仰いでください。

 その4:消化器症状や血液凝固機能への影響

 新型コロナウイルス感染症では、吐き気や下痢などの消化器症状がしばしばみられます。このほかの特徴として“血液が固まりやすくなる状態”になる傾向があり、これによって血栓症や脳梗塞が起こる可能性も指摘されています。心臓や血管系にも影響があり心筋炎や不整脈を引き起こすことがあると言われています。小児では川崎病に似た症状を起こした例が報告されています。

 その5:無症状の場合も頻繁にある。

 新型コロナウイルス感染症では感染しても症状が全く出ない場合があります。まだ明確な割合は判明していませんが、おおよそ3~4割の方が、感染しても無症状だったとの報告があります。特に若い人には感染しても無症状の場合が多いのではないかと言われています。この無症状の方が、どのくらい感染を広げる可能性があるかは解っていません。

 咳や痰、発熱など通常の風邪症状に加えて、嗅覚・味覚の変調があった場合、新型コロナ患者との接触歴・2週間以内の海外渡航歴・特定のクラスターに曝露しているなどの状況がある場合は、新型コロナウイルスの検査対象となる可能性があります。まずはかかりつけ医や発熱相談センターにお電話をお願いします。医療施設では、新型コロナウイルス感染の可能性のある方を診察する場合には、院内感染を防ぐために一般の患者さんとは時間的・空間的に分離をして診察をしています。いきなり医療機関に受診するのではなく、まずはお電話にて、かかりつけ医や発熱相談センターに連絡してください。

Q7:どんな人が重症化しやすいのですか?

A7:新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある方です。厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」によれば、30台の方の重症化率を基準とすると、各年代の重症化率は・・・

  • 10歳未満:0.5倍
  • 10歳代:0.2倍
  • 20歳代:0.3倍
  • 30歳代:1倍 ・・・・・ ここが基準
  • 40歳代:4倍
  • 50歳代:10倍
  • 60歳代:25倍
  • 70歳代:47倍
  • 80歳代:71倍
  • 90歳以上:78倍

重症化のリスクとなる基礎疾患は以下のものが挙げられています。

  • 慢性腎臓病
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心血管疾患
  • 肥満(BMI 30以上)
  • 悪性腫瘍(がん)

Q8:HappyHypoxiaとは?

A8:Happy:幸福なHypoxia:低酸素症・・・兆候の無い低酸素症という意味です。これは新型コロナウイルス感染症の特徴かもしれません。

 肺機能が悪くなり低酸素の状態になると、通常は‘ものすごく苦しく’なります。苦しくてうずくまり肩で必死に息をする状態になります。身動きすらできません。会話なんてとても不可能です。意識も消失しばしばあります。

 HappyHypoxiaは新型コロナウイルス感染症で重症化が起きるときに頻繁にみられます。すでに肺炎が進行して酸素不足になっているにも関わらず呼吸困難の症状を全く伴わないため、患者さん本人は状態が悪化していることにまったく気付きません。普段と変わらず会話して、食事もしています。そのうち突然に呼吸苦の症状が表れて急速に悪化します。自覚症状が表面化した時には手遅れに近いほど呼吸状態が悪くなっています。

 新型コロナが世に出てきて間もない頃から、最前線で診療を行ってきた医療者は、元気だった患者さんの呼吸状態が急激に悪くなる現象に恐怖感を持っていました。「ドカンと来る」と表現していた先生もありました。(実際は症状が出ないので、呼吸状態の悪化がマスクされていたのです。)

 自宅待機で経過を見ていた方が急変して、誰も気が付かないうちに亡くなっていたというのはHappyHypoxiaが原因と言われています。

 世田谷区医師会PCRセンターでは、診療を開始した当初から、リスクの高いと思われる方には、パルスオキシメーター(酸素飽和度を測定する器械)を貸し出して、酸素濃度の低下に素早く対処できるように指導をおこなっています。

Q9:後遺症が残ることがあるのですか。

A9:新型コロナウイルス感染症から回復した後も、咳・痰・だるさ・呼吸苦・味覚障害・嗅覚障害などの症状が続く方がいることがわかってきました。

 国立国際医療研究センターの調査では、発症60日後には10~20%、発症120日後には2~11%症状の残存がみられました。

 海外の報告では、倦怠感や呼吸苦、関節痛や胸痛といった症状が存続している方が多いようです。また、全体の24%の方に発症1か月後から脱毛が4か月後くらいまで見られることがわかりました。

 いまのところ、これら後遺症に対する治療法は見つかっていません。

Q10:新型コロナウイルス感染症を広げないためにはどうしたらよいですか。

A10:新型コロナウイルス感染症に罹った人のうち、他の人に感染させているのは2割程度と言われています。1人の感染者が何人もの人に感染させてしまうことがなければ、必ず流行を抑え込むことができるはずです。

 大切なのは、今まで言い尽くされてきた基本的なことです。

  • (1)手洗いをしっかり行いましょう。
  •       外から帰ってきたとき
  •       くしゃみやはなをかんだあと
  •       ごはんやおやつを食べる前
  • (2)不要・不急の外出を避ける。
  • (3)人と接する時はマスク着用
  • (4)3密(密閉・密集・密接)を避ける
  • (5)換気をしっかり
  • (6)感染リスクの高まる「5つの場面」に注意
  •      ・飲酒を伴う懇親会等
  •      ・大人数や長時間におよぶ会食
  •      ・マスクなしでの会話
  •      ・狭い空間での共同生活
  •      ・居場所の切り替わり

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